「西成のまちづくり100話」
まちづくり活動支援制度を実現
大阪市は、1997年の12月に「大阪市まちづくり活動支援制度」をつくりました。まちづくりの整備手法や制度などの適用がまだはっきりとしないまちづくりの初期の段階で、身近なまちの整備・改善及び保全等に向けてのまちづくり活動を行う団体(大阪市がまちづくり推進団体ととして認定)に対して、活動費の助成や専門家の派遣を行う制度です。
この制度で、地域の実情に応じた住み良いまちづくりを市民と市が協力して推進し、住民等による自発的なまちづくり活動を支援するものでした。現在まで、15年で43のまちづくり団体に助成が行われましたが、トップの助成団体は西成地区街づくり委員会北津守地区構想策定部会」で、その後、「今宮駅前構想部会」「なにわ筋沿道整備構想部会」「夜店通り活性化整備構想部会」と、次々と西成地区街づくり委員会傘下の地域団体が助成制度の対象になっていきました。
阪神大震災が1995年で、復興支援ボランティア活動の活躍が注目されていた頃でしたし、NPO法の制定も間近で(1999年)、この頃、市民活動の育成に大きな関心が寄せられていました。西成地区のような密集市街地は、震災の被害も甚大であり、高齢者等が多いことを考えると、行政だけではとても安全を保障できない状況であることが、共通の認識になっていたからでもありました。
また、1997年には、大阪市は「商店街空店舗活用支援制度」も新設しましたが、この制度の最初の適用を受けたのが鶴見橋商店街で、6番街に「ナイスプラザ」という店舗がオープンしました。これは、街づくり委員会の活動から生まれた(株)ナイスが、まちづくりを応援する住宅リフォームセンターと、皮革工房「シ・パラン」を開店させたものでした。
何よりも「阪神大震災」という悲しい出来事があり、人々が自発的に支援に立ち上がったこと。そこから「ボランティア」など市民の役割がけっして小さくないこと。また「密集市街地」など、長年の行政課題が解決していないのは、行政任せだったからではないのかという反省も生まれたこと。そして、NPOなどの、住民が参加できる方法が紹介され始めたことなどの諸要因が重なって、西成地区のまちづくりが活発化し始めました。そして、それが大阪市全体にも広がり始めたのです。それが、まちづくり支援の諸制度となって、いまに引き継がれています。