第13話 北津守まちづくり構想

「西成のまちづくり100話」

北津守まちづくり構想

先に紹介した、大阪市の「まちづくり活動支援制度」を最初に活用して1997年から2000年までの3年間で取り組んだのが“北津守まちづくり構想”です。
北津守地区は、かつては木津川沿いの造船工場など多くの工場が立地し、たくさんの労働者でにぎわったものですが、産業構造の変化などで地区から多くの工場が撤退し、まちの活気を失いました。そして、それと符合してまちには多くの課題が生まれました。地区内の人口減少、なかでも労働人口の大幅な減少と、それにともなう少子高齢化は地区の人口バランスを大きく欠くことになりました。また撤退した工場の跡地はそのまま未利用地として残り、地区内の商工業の活力は失われました。そこに従来から課題とされてきた地区内道路ネットワークの整備や住環境の改善、教育・医療・福祉施設の充実、自然環境の回復などがまちづくりのテーマとなりました。
構想策定部会では、これらのまちの課題をタウンウォッチングやその後の意見交換でしっかりと確認したうえで、テーマ毎に何度もワークショップを実施して将来構想の検討を進めました。大規模な工場跡地の活用については、敷地の広さや建物の大きさを現地で自分の体で確認しながら施設や住宅などの配置を検討したり、鉄道敷きの跡地についてはそれぞれの夢をイメージした公園を想い描いたりしました。また、老朽住宅の共同建替えや、多様な住宅づくりについて具体的に様々なプランの検討も行いました。
このようにして策定されたまちづくり構想では、地区中心部は、地区コミュニティの中心として人々が集いふれあえる「コミュニティゾーン(いきいきゾーン)」、その北側及び東側幹線道路(新なにわ筋)沿いは、地区の商業・業務等のにぎわいの中心となる「商業・業務・住宅複合ゾーン(にぎわい・交流ゾーン)」、この両ゾーンの北・南・東側は、多様な住宅で子供からお年寄りまで安心して暮らせる「住宅ゾーン(やすらぎゾーン)」、そして地区北端部は、公園や農園などの緑と住宅が共生する「グリーンアメニティゾーン(緑のアメニティゾーン)」、地区西端の木津川東岸道路沿道部は、木津川の水と緑を取り込んだ遊歩道や住宅からなる「ウォーターフロントアメニティゾーン(水と緑のアメニティゾーン)」、という5つのゾーン別構想が示されました。
また、道路ネットワークについても、地区内の通過交通を排除したうえでの広域的な自動車用動線と、地区全域をカバーする安全で快適な歩行ルートづくりによる歩行者用動線を併せたネットワークが構想されています。

資料:北津守まちづくり構想

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