第21話 津守西住宅から住宅福祉連絡員制度を創設

「西成のまちづくり100話」

津守西住宅から住宅福祉連絡員制度を創設

 1999年の頃、西成地区では、公営住宅などでの高齢者の孤独死や高齢者単独世帯での失火による死亡、自宅の風呂での障害者の溺死事故などが起こり、住民の不安が広がっていました。また、同和向け公営住宅及び改良住宅において、高齢者単独世帯、高齢者のみ世帯が急増しており、孤独や不安の声が多く寄せられていました。こうしたことから、西成ボランティアバンクによって食事サービス事業が始まり、高齢者や障害者の孤立解消への住民の関心が高まっていました。
 また、津守西住宅の住戸改善事業において、国のシルバーハウジング事業を誘致する運動が起こり、2002年から実現することも決まりました。大阪市でも、2000年度から5年間の同和対策事業における家賃制度や住宅管理人制度の改革検討も行われました。そこで、西成地区では、同和事業西成地区協議会や住宅入居者組合連合会、(社福)ヒューマンライツ福祉協会などの関係機関が「住宅福祉連絡員制度(仮称)」の検討を始め、大阪市と西成地区街づくり委員会は、「住宅福祉研究会」を設置、東京都のシルバーピア事業の調査など、広がりを持った研究を始めました。
 シルバーハウジング事業は、津守西住宅にライフサポート・アドバイザー(LSA)が配置されることになりますが、ここをコアに西成地区19住宅約1,600世帯全体に「連絡員」を配置する(住宅居住者の拠出と福祉法人などの自主事業で)というのが住宅福祉連絡員制度の構想で、将来は民間老朽賃貸住宅共同建替事業の適用住宅にも広げようというものでした。
 2001年2月から2002年3月まで、津守西住宅で「住宅福祉モデル事業」として実施しましたが、サービス内容は、①高齢者や障害者世帯の定期的な安否確認、(2)突然の病気や緊急時の通報並びに手配、(3)介護保険関連施設との連携、(4)親族へ日常生活をはじめ、病状など定期的(月1回)に近況報告、(4)利用者と連絡員で交換日記を実施し相談を補完する、(5)定期的なレクレーションなどでした。費用負担は、戸数×月300円を入居者組合が自治会費などから拠出し、駐車場還元金からも拠出しました。個人負担は、月額2,000円を基本料金にして、別途サービスに定める料金を徴収しました。住宅福祉連絡員は、月額100,000円を限度額とした非常勤職員としました。また、食事サービス事業を核にして、洗濯や買い物代行、共済制度など、住民協働による非営利の「くらしサポート事業」「一人暮らし高齢者支援事業」も構想していました。
 西成地区のまちづくり運動の象徴的な取り組みであった公営住宅での高齢者などの孤立防止の住民協働事業が大きく盛り上がった時でした。

資料:津守西住宅から住宅福祉連絡員制度を創設

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