第24話 西成製靴塾

「西成のまちづくり100話」

西成製靴塾

 かつては全国シェアの8割を誇ったという西成区の高級婦人靴。機械化できない工程がほとんどで、熟練した靴職人の技巧が『西成ブランド』を支えてきました。しかし、時代の変化とともに、職人の高齢化や大量生産の輸入品の増加、長引く不況の中で廃業するメーカーも増えていきました。このため伝統的な製靴の技術を後世に伝えようと西成製靴塾の開塾準備を、1997年から進めてきました。
 はじめは、出城東住宅の作業所や、チャレンジド(介護ショップ)の一角を使って続けられました。インターネットのホームページで紹介したところ、全国から『自分の足にあう靴を作りたい』「自分の店を持ちたい」といった反響があり、地元の職人さんが女子大生や脱サラした男性になどに製靴の技術を伝授しました。
 さらに、98年9月には、高齢者の知識や経験を生かして地域の伝統文化をマルチメディアで伝承しようと、通産省の外郭団体が取り組んでいる「ハイパー風土記」に応募し、住民主導の活動では、初めて対象事業となり、熟練した職人技をCD-ROM(なにわの靴名人)に収録することになりました。
99年月には長橋小学校の空き教室を使って、職人技術の伝承を目的に、機械は最小限で、製靴技術製法の習得を内容として、定員15名で始められました。この塾は、単に製靴の技術研修だけではなく、靴に関する高度な技術や意匠デザイン、また皮革製靴産業に関する基礎的な知識の習得も目標として開設しました。
靴作りの多くは機械を使い、分業で進められており、一人ですべての工程を行う作業形態にはなっていません。手作りのよさの再発見や新たな靴作りマイスターやシューフイッターやフスフレーガー(足のお医者さん)をめざして、この塾から育てるべく取り組んできました。
99年度は16名が受講し、3名が靴の小売に、2000年度は、2名が卒業し、他は継続となっています。
その後、西成製靴塾の取り組みは、新たな工場アパ-ト「西成クラフトセンター(仮称)」の建設構想にも発展し、西成の地場産業である「皮革関連産業」、とりわけ西成の歴史ある産業『製靴皮革産業』の活性化を図る予定でしたが、「西成クラフトセンター(仮称)」の建設構想が頓挫し、製靴塾だけが続けられるという現状になりました。

 資料:西成製靴塾

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