第11話 自立就労支援の取り組み

「西成のまちづくり100話」

自立就労支援の取り組み

西成地区では就労の機会を確保するため、1972年4月より阿倍野公共職業安定所から職業相談員が週2回にしなり解放会館に出向いて就労相談に応じてきましたが、就労実態やケースごとの追跡調査、分析等に十分対応し切れていない面もあり、早急な雇用促進施策の強化が求められてきました。そんな流れの中で、地区内に居住する障害者の自立と社会参加の促進を図るために、西成障害者会館において、就労支援事業である障害者就労支援センター『アスタック』が1993年11月に開設されました。さらに、1995年9月には、社会福祉法人ヒューマンライツ福祉協会が設置主体となって、高齢者および障害者が就労を通じて、生きがいの獲得とリハビリテーションなどの健康増進ならびに、安定した生活基盤の補助を図ることを目的として『生きがい労働事業団』が開設されました。そして1996年4月、これまでの流れを受けて『部落解放西成地区自立・就労促進協議会』が組織され、部落解放西成地区自立就労支援センター「ワークあい」が発足、地区全体の就労支援活動が本格的に展開されていくことになったのです。

『ワークあい』は就労相談に来た人に登録をしてもらい、その上で関係機関と調整をし、登録者をそれぞれの実情にあった各種施策に誘導する方式をとっています。ワークあいの登録者は1997年9月に708人となっています。

1年目の活動は、公共職業安定所の巡回相談、半年間の相談者は169人、そのうち何らかの形で職についた人は54人でした。技能習得・職業能力開発の支援として、府立高等職業時術専門学校の訓練、美容科5人、調理科2人、自動車整備科2人、ビジネス科、ビル管理科、溶接科が各1人の12人。うち10人が修了と同時に就職しました。技能就職奨励費の受給者は、15人で、5人は就職したものの、必ずしも取得した技能を生かせる職についたわけではありませんでした。被保護者自立支援事業では、訓練を終了した10人のうち、就職にいたったのは1人だけでした。社団法人同和地区人材雇用開発センター(行政機関、企業、住民の三社が一体となって、同和地区住民の安定的な雇用の確保という共通目的を達成するために、第3セクター方式で1981年に設立)と連携して、25人が登録、16人が就職しました。地区内就労支援活動としては、高齢者生きがい労働事業団、障害者自立・就労支援、身体障害者小規模作業所「チャレンジド」の取り組みをしました。その他にも、市社協ホームヘルパーをめざす会、靴学校、A’創造館への登録などに取り組みました。

資料:自立就労支援の取組

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第10話 まちづくりこども大学の取り組み

「西成のまちづくり100話」

まちづくりこども大学の取り組み

西成地区ですすめられている街づくり運動に合わせて、子供たちが中心となって子供の視点でまちづくりを考えるプログラム「めざせ!わんぱく合衆国 まちづくり子ども大学」を、1996年の夏季教育活動から、ヒューマンライツ教育財団主催の事業として実施しました。活動の目的は、(1)西成で進展する街づくりに子どもの視点で提案するための土台づくり(2)街づくりと人権という視点を結合して学ぶ(3)ワークショップスタイルを導入し参加型学習の実験を行う(4)地域外から学生やNGO関係者などの参加を求め、地域内外の関係づくりを進める(5)子どもの未来像を広げるなど、ヒューマンライツ教育財団としての教育事業の今後を模索する、でした。(1)すべての人にやさしい街、(2)楽しい学校をつくる、(3)西成の公園をつくる、(4)自然にあふれる街づくり、(5)わくわく商店街をつくる、5つのコースグループにわかれ、グループごとに「わんぱく探検隊」「わんぱく撮影隊」の2班をつくり、小学生から高校生40名あまりが参加し10日間にわたってワークショップ形式の学習会や計画・提案づくりと実際のフィールドワークを行いました。まとめられた63項目の「提言」(資料参照)はまちづくり委員会に提出され、撮影された記録はビデオ作品「未来予想図」になり、まちづくり研究集会等で発表されました。こうした経験を生かして、北津守公園のリフレッシュ工事に関して、「子どもワークショップ」を開催しました(1997.11)。公園にある船の形の遊具の絵は、区内小学校の子供たちの絵画コンクールの作品。タイルは生きがい労働事業団と障害者グループの共同作業。手作りの公園が出来上がりました。 また、池を作ろうということになり、「近自然工法」と呼ばれ、コンクリート造りではなく、ゴムシートを底に敷き、雨水をためて自然浄化させながら緑を繁殖させ「トンボなどが集まる池」(ビオトープ池)づくりを進めている「樋口池グループ」の田原塩二代表の協力を得てとりくみました。田原さんを講師にした学習会(1997.9)、池の見学会を実施し11月から子供たちを中心に池づくりを始め、12月の「西成子どもフェスティバル」の中で、大阪市内では最初となる「ビオトープ池」の完成式を行いました。

資料:まちづくり子ども大学の取組

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第9話 西成生きがい学習センター

「西成のまちづくり100話」

西成生きがい学習センター

北津守地区のまちづくり構想の一つである「教育・文化ゾーン構想」として、津守西保育所の跡地を利用して「西成生涯学習センター」を開設しました。(1997.7.12)設立の目的は「技術を磨く、楽しく学ぶ、みんなで集う」ことであり、そのために4つの柱で取り組みを進めました。

第1の柱は、高齢者・障害者の生きがいと自立・就労活動の支援です。「高齢者生きがい労働事業団」の北津守地区の活動拠点として活用し、また、西成障害者会館で活動してきた「精神障害者小規模作業所・ポレポレ」の日常活動場として活用しました。

第2の柱は、「技術を磨く」分野を担う「西成クラフトセンター・あすなろ」の開設です。これはその道の専門家・プロが担当しながら、西成地区の特徴(皮革・製靴・骨粉づくりの街)を生かして新しい「仕事の創造」と人材養成を目指そうというものでした。窯業工房、木工工房、皮革・染色工房、デジタルアート工房を開設しました。

第3の柱は、津守児童館の関連事業を始め、地域の子供たちの活動支援です。

第4の柱は、北津守を中心に西成区民の生涯学習施設として活用してもらうことです。

とりわけ、西成区の地場産業であるレンダリング。その処理から出てくる牛骨灰に土や粘土を混合することにより、新しい焼き物、手づくりタイル「津守焼き」が生まれました。「津守焼き」は、生きがい労働事業団「西成陶工」に集まる地域の高齢者や障害者の人たちによって一枚一枚、手づくりで焼き上げられた地元西成ブランドのタイルです。

北津守公園の遊歩道をはじめ、まちかどホーム「すずらん」(特別養護老人ホーム)では、地元の高齢者や障害者の人たちと地域の子供たちが一緒になって、タイルに絵を描くなど、住民が主人公になった街づくりを実践しました。

「津守焼きタイル」の特徴は、骨灰の混合によって醸し出される温かみある質感と手作りならではの独特の風合いです。タイル自体に含まれる骨灰(リン酸カルシウム)が不純物の浄化、臭気吸収作用を促し、今や環境問題にもなっている酸性雨等が路面化に浸透する段階での、フィルター的役割を畑氏土を中生化させ、生態系の保護、活性化といった効果をも期待できるのです。また、低い熱反射率は路面温度を下げ地球温暖化防止にも役立っています。

 

資料:生きがい学習センター

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